メ~ブツ

2011年6月14日 22:43

普通の人の「再生の物語」

橋口亮介監督の「ぐるりのこと。」を、やっと、やっと、観ました。
何人かの友人からお薦めされてたんですが、なぜかタイミングを逃していて。。。


 

 

ネタバレしないレベルで紹介しますが、一言で言うと、

極々、普通の人の「再生の物語」

でしょうか。

 

少しだけ、普通の人と違うとすれば、主人公の夫婦二人が美大の日本画を専攻していたことがあります。
我が家も、夫婦そろって、同じ大学のデザイン畑の出身なので、少し親近感(危機感?)をもって観る事ができました。

普通の日常の中に含まれる激しさが、リアルに、そして淡々と、描かれていて、古き良き日本映画で追い求められてきたものを、監督なりの視点と意図を持って、真摯に描き出してる印象を持ちました。
淡々と描くといえば、小津安二郎の映画を思い出しますが、少し通じるものを感じます。

今、私たちが、何気なく過ごしている時間を切り取ると、どれだけ滑稽で、理不尽で、素晴らしく、つまらなく、貴重であるか、ということ。
そんなことを、約2時間、映画という媒体を使って、伝えてくれます。

橋口監督といえば、「ハッシュ」「渚のシンドバッド」など、大きな映画賞を受賞した作品も作ってきた監督ですが、一時期うつ病を経験していた時期もあり、作品数は多くありません。

完治後に発表されたのが、「ぐるりのこと。」ですが、監督自身、そしてその経験を投影した主人公の、大きなものを乗り越えた「再生」が、誇張なく、誰にでも降り掛かる問題として描かれている様に、共感しました。

カメラワーク等、表現は、特に凝った感じはなく、ある意味平凡なんですが、


こうきたら、次こんなカットが入るな〜


という所にあえて、肩すかしを食らわすように、一歩(いや5歩ぐらい?)引いた画の創りが、観る人を馬鹿にしていないなぁ、なんて思ったり。

 

どちらかというと、日本以外の映画(アジア含めた洋画)を見る事が多かったんですが、また一人好きな日本人監督ができたので、また邦画もこまめにチェックしたいと思います。